4月26日に一般販売を開始したFirstVR。アプリケーション「母ご乱心」「FVR Wizard」に続き、4月17日に公開された専用SDKを使ってFirstVRで遊べるVRボーリングアプリを開発していただけました!今回はその開発者様にインタビューをいたしました。
【ボーリングアプリ開発者】 Hosonoさん(大学院修士1年) 開発使用ソフト:Unity
インタビュアー: H2L代表 岩崎健一郎, 撮影: H2Lエヴァンジェリスト 堀江
取材場所:H2Lオフィス
FirstVR-アームバンド型のコントローラとゴーグルのスマホVRセットデバイス。コントローラには世界初の筋変位センサが搭載されていて、腕に巻きつけるだけで手指の動作を読み取りゲームに反映する。
岩崎(以下:I) : FirstVRでのVRアプリ開発ありがとうございます!本日はよろしくお願いいたします。
細野(以下:H):よろしくお願いいたします。
【細野さんの来歴】
I : 今回はUnityでVRボーリングアプリを開発されたとのことですが、プログラミングはいつごろから始められたのですか?
H :大学2年生の終わりくらいからですね。
I : 今が修士1年とのことなので、だいたい2年前くらいからですね。プログラミングは何から始めましたか?
H: 学校の授業でc言語から始めました。最初は特にプログラミングはしてなかったです。とりあえず名前だけ聞いたことがあるので、いろんなソフトでハローワールドしたりしていました。
I : PythonなりJavaなどですね。学校以外の時間でプログラミングを行ったりはしていたのですか?
H: それなりにしていましたが、アプリ作成まではいかなかったです。3年生頃からUnityでアプリも作り始めて、でもまたそこからしばらくUnityもやらなかったですね。でも、UnlimitedHand(*注1)を卒論で使って、そこからデバイスを使った開発をはじめました。
I : 研究室でUnlimitedHandを使っていたのですね。
H: はい。あとPythonを使って自分でUnlimitedHandのライブラリを作っていじったりしていました。数学がよくわからなかったので、機械学習のライブラリを使いたくて自分で作りました。
I : UnlimitedHandのライブラリはH2LからはUnityとJavaしか出ていないのですが、自分で作られたのはすごいですね。
H: ありがとうございます。
機械学習を使いたいために自分でUnlimitedHandのライブラリを作成した細野さん。
I : じゃあデバイスとプログラムの連携をやり始めたのは4年生からですね?
H: そうですね。
I : 研究室で開発については教えてもらったりしていたのでしょうか?
H: いえ、独学で勉強していました。あとは2016年のUnlimitedHandのハッカソンにもでました。
I : ソニービルで開催した「ポストVRの未来を切り開く!
」(*注2)という題のUnlimitedHandハッカソンですね。2016年の11月頃の。細野さんは「ほんとは嫌いじゃないよ」という名前のチームですね(笑)
H: そのときはチームで、人型の的に向かってパンチを飛ばして当てて、最後は握手をして仲直りをするゲームを作りました(笑) 最終的に注目が別のチームの「乳しぼられ」VR(*注3)にもってかれてしまいましたが(笑)
I : あれはインパクト大きかったですからね(笑) 「ほんとは嫌いじゃないよ」はチーム感があってとても好きでした。モデルを作る人、それを動かす人、というような役割があって。
UnlimitedHandハッカソンではゲームのプログラミングを担当していた細野さん。
【FirstVR購入からVRボーリングアプリ開発まで】
I : UnlimitedHandのハッカソンなども行って、それからH2Lは1年かけてFirstVRを開発・販売をしたのですが、FirstVRはいつごろ手に入れられたのですか?
H: 去年の9月の東京ゲームショウで発表されてから予約したので、3月ごろ届いたかと思います。
I : そこから今年の4月中旬にFirstVR用のSDKを公開したので、そこから開発を始められたということですね。今回作成したVRアプリ「FVR bowling」について、どのようなゲームか少し紹介いただけますでしょうか?
H: 今回作った「FVR bowling」は、FirstVRを使ってスマホでVRボーリングができるアプリです。FirstVRのコントローラの加速度センサを使って、コントローラを腕につけて、ボーリングの玉を投げるそぶりをするとVR内で玉を投げることができて、ピンに当てて得点を狙うゲームになってます。
I : なるほど。FirstVRのコントローラを使うことで、フリーハンドで直感的な動作ができますね。こちらのVRゲームのプログラミングにはどれくらいの期間がかかりましたか?
H: ゲームとしての機能は2日くらいで完成しました。腕をふってピンが倒れるというところまでです。ただまだ得点などはついてなかったので、そこからそういった機能やデザインなどを直していった感じです。
I : 今回はジェスチャの認識は使っていないのでしょうか?
H: ジェスチャ認識の機能は使ってないですね。ただジェスチャ認識の機能はSDKにはいっていたので、それも使ってみたいです。
今回のボーリングアプリではコントローラの加速度センサのみを使用しているとのこと。ジェスチャを使ったゲーム制作にも興味があるそうです。
I : 公開されたSDKはいかがでしたか?
H: SDKを使えば、あまりFirstVRのこと知らなくても2~3行のコードでFirstVRコントローラのセンサデータを利用できるので、今回のボーリングアプリのようにジェスチャを使わないものであれば開発するのはそんなに難しいことはないです。
I : ありがとうございます。
【FirstVRを使った感想】
I : FirstVRの開発で楽しかったところはどういったところでしょう?
H: 手に何も持たないでコントロールできるところがとても面白かった。SDKでジェスチャ認識を試したのですが、グーとパーのジェスチャの識別はすぐにできたのですごいなと思いました。
I : VRゲームを作るのはいかがでしたか? 3Dゲームとはちょっと違いますが。
H: そこまで大変ではなかったですね。
I : 3Dを使っている人もどんどんVRを作って欲しいですね!
H: 有料にはなりますが、IKを使って制約をうまく与えれば、肘や上腕の動きもとれるのかなと思います。
I : いまFirstVRの開発のために、これがあればいいなというものはありますか?
H: 今は作ったアプリの動作確認のためにスマホに書き出しをしているので、PC上で開発するためのSDKがあれば嬉しいですね。
I : そちらはいろいろな方から要望をいただいています。ビルドして実機でしか試せないのはなかなか大変ですよね。次のSDKで対応予定です!
FIrstVRの開発をPC上でできるように、現在SDKを開発中。近日公開予定です!
H: FirstVRを使ってやりたいことは、コントローラのジェスチャ認識を使って3Dモデリングを自分の手で作りたいな、と。Pro Builder UnityだとBlenderのようにUnity上でモデリングできるので、APIを使ってFirstVRコントローラでより直感的にモデリングしてみたい。できれば夏までにやってみたいなと思ってます。
I : 是非頑張ってください!
I : 今回、細野さんがVRボーリングアプリを出して、反響はいかがでしたか?
H: 友人にも、実際にボーリングをするときと同じようなジェスチャでプレイできるのが面白いと言ってもらえました。手に何ももたないで遊べるので、直感的な動作ができるのが好評でした。それ以外にもたくさんの方がダウンロードしてくれたので、嬉しかったです。
インタビュー対応ありがとうございました!
細野さんの開発したボーリングアプリはストアにてダウンロードいただけます!
iOSの方はこちらからダウンロード
Androidの方はこちらからダウンロード
*注1: 2016年5月に発売したH2Lの商品。電気刺激による触感フィードバックとセンサによる筋肉のセンシング両方ができる開発者用デバイス。
公式サイト:http://unlimitedhand.com
*注2: 2016年10月~11月にソニービルにて開催されたUnlimitedHandハッカソン。集まったメンバーで人員構成をし、チームごとに開発をして大賞をとるため様々なアイディアが生まれた。
ハッカソンレポートブログ:http://unlimitedhand.com/report-open-the-future-of-vr-unlimitedhand-hackathon/
*注3: 「ポストVRの未来を切り開く!」UnlimitedHandハッカソンにて大賞をとったVRゲーム「Milking VR」。UnlimitedHandを腹部に装着し、電気刺激を流すことでまるで乳をしぼられている牛になったかのような体験ができるゲーム。
関連リンク:https://www.moguravr.com/adult-vr-ex/